代表「やる気ないなら帰れ!」→ゲスト「帰りますわ」→大変なことになってたw
どーもこんにちわ!ミナミです☆
僕は以前役者をやっていました。
役者と言っても活躍する舞台は様々です。TVドラマやCM、舞台に映画にVシネ等。
その中でも僕は舞台が好きで、30本ほどのお芝居に出させていただきました。
1本のお芝居の稽古期間が2ヶ月位なので、ちょっと多いほうかもしれません。
同時にDIYが趣味で、舞台装置などを作成する舞台美術や照明スタッフ、裏方を仕切る舞台監督などもやっていました。
そんなある時、とある劇団にお手伝いに行きました。
過激代表
お手伝いに行った劇団ではその劇団の代表が演出家を務めておりました。
お芝居を作る際には当然ですが演出家が役者の演技を見ます。
その代表はちょっと過激なことで有名で、よく役者に向かって「バカかお前は!」「全然出来てねぇんだよ!」と怒鳴っては靴やペンを投げつけていました。
※投げられた靴やペンは演出助手の女の子が拾いに行きます。
本当によくキレます。
身長が2m近くあるその代表は威圧感が半端ありません。
男性の劇団員はよく殴られていました。役者なのに顔に青タンを作っていて(おいおい、マジかよ)と何度も思ったものです。
女性の劇団員にも容赦なくキレます。流石に殴りはしませんが、よく舞台裏で泣いているのを見かけました。
そんな代表なのですが、人集めは非常に上手く、いつもお客さんはたくさん入っていまいた。
尚、僕はお友達価格でかなり割安でスタッフとしてお手伝いに行っていただけだったので、その代表は僕には非常に良くしてくれました。
なので、いつも怒鳴られている劇団員を「かわいそうになぁ」と見ていました。
劇団員より立場が強いゲスト
僕がお手伝いに行った時の演目で、出演者の中でサブメインとも言われる美味しい役に外部からゲストが呼ばれていました。
こういう劇団でのゲストというのは、少し売れている劇団にお金を払って1公演だけ出てもらう人の事をいいます。
もちろん芸能事務所に依頼してお金を払って芸能人に出てもらうこともあります。
通常、劇団員や通常の出演者は、舞台に出演するのにお金を払います。
というかチケットを30枚とか買わされるんですね。
1枚2,800円とかなので、84,000円位払います。
そういう出演者が10人位集まって、84万円になります。
そこにプラスして普段からの劇団員の払っている月謝などを足して100万円位にするんです。
その100万円を使って劇場を借りたり、衣装を用意したり、スタッフさんを雇ったりします。
そんなお金を払ってお芝居に出演している劇団員の中に、お金を貰って参加しているゲストさん。
当然地位が高くなります。
もちろんゲストさんもお仕事ですので、みんなと出来るだけ仲良くしようと愛想よくします。
代表もゲストさんには気を使って演出します。
しかし。。
クソ代表本領発揮
本読みが終わって粗立ち稽古が始まり、立ち稽古に入ります。
簡単に言うと、台本を持って立ち稽古をやって、セリフを覚えた人から台本を外していきます。
大体台本を貰って5日目くらいにはみんな台本を手放します。
その立ち稽古が始まった頃から代表がヒートアップし始めます。
少しのミスでもキレます。
現場はもう出来るだけ代表の機嫌を損なわないようにという空気感でいっぱいになります。
代表は対外の態度は非常に良く、色々な偉い人にはとても気に入られている人。
でも、稽古場では怒声が響かない日は無い。
なぜなら
「そこは恋人と話してるんだからもっと近く寄るだろうが!何考えてんだてめぇは!」
と言った翌日に
「恋人だからってそんなに近くに行くか!バカかお前は!」
というダメ出しが出るから。
あまりにも言っていることが二転三転するため、それに頭に来た劇団員が前日の稽古を録画して代表に見せつけた。
「ここで近くに寄れって言ってますよね?だからその時に言われた距離まで近寄ったんです!」
「お前はだからダメなんだよ!舞台は生ものなんだから日によって芝居は変わるんだよ!その全体的なバランスを見てこっちは演出してんだ。なのにてめぇは何文句言ってんだ?あぁ!?」
という感じ。
劇場入り後
超ヒートアップする代表
ゲストに対しては普通のダメ出ししかせず、むしろほとんど何も芝居について触れないことの方が多かった代表。
ですが、ゲストさん以外のメンバーには毎日キレまくってたので、もちろんゲストさんもその代表のやり方を知っています。
そんな感じで稽古は進み、本番の1週間前に劇場入り。
劇場に入ってからは舞台装置の仕込みや照明・音響の仕込みが入ります。
そうして舞台がすっかり出来上がったら、そこから本番までは「場当たり」「きっかけ合わせ」「暗転稽古」「ゲネプロ」などの稽古が始まります。
しかしその時は舞台仕込みが中々スムーズに行かず、色々な予定が押し押しになっていました。
事前に立てたスケジュール通りに進まずイライラする代表。
ようやく稽古の時間になり稽古を開始。
「ちげーだろ!そこは『遥ー!』って叫びながら後ろに下がるんだよ!」
「バカかてめぇは!ニュースキャスターがそんなに感情入れて原稿読むか!」
と、いつもながら稽古の時に言った自分の言葉をひっくり返しまくります。
「稽古の時は「遥ー!」って言いながら前に進むって言ったのに・・・」
「ニュースキャスターだからこそ、原稿にも感情をいれるべきだろって言われたのに・・・」
その中でイケメンの主役をやっている男の子が代表に捕まりました。
ボロカスにけなします。
その男の子も少し頭に来たのでしょうか、「けど・・・」と反論をしました。
しかしまさに火に油。
流石に数日後に本番を控えている状態のため、顔を殴ることはありませんでしたが、お腹を蹴飛ばします。
「うるせぇ!お前は黙って俺の言うこと聞いてりゃいいんだよ!まともな芝居も出来ない三流のくせにグダグダ反抗してんじゃねーぞ!」
ちなみに僕は舞台裏で道具のセッティングをしています。
ちょっと流石に役者に手を上げるのもまずいだろうし、色々行き過ぎてるだろうと止めようとした時、代表が更に続けました。
「楽屋にいる奴らも聞いとけ!やる気ないんだったら今すぐ帰れ!そんな役者いらねぇんだよ!本気で芝居をしたい奴だけ残れ!」
あーあ、これで本当に誰か帰っちゃったらどうするんだよ。って思っていたら
「じゃあ帰りますわ。」
え?マジ?
ついにキレたゲスト
「正直あんたのやり方不愉快極まりない。お疲れした。」
言い放ったのはゲストさん。
少し年配の女優さんです。
貫禄半端なくて芝居もスゴイ。
そんなゲストさんが「楽屋にいるやつも聞いとけ」と言われて自分も含むと判断した模様。
すると
代表 :いいんすね?本当に。あなたもたくさんお客さん呼んでるでしょうに。3日後本番ですよ。
ゲスト :いいよ。今回は見せられる芝居じゃなかったから先輩しか呼んでないし。先輩にはあたしが頭下げとく。
代表 :・・・
どうやらゲストさん、今回参加したお芝居が完成度が低いと感じていたらしく、一般のお客さんは一人も呼んでないとのこと。
ゲストさんほどの人の先輩となると、他の役者さん無視してゲストさんだけのダメだしをしてくれるから無料チケットで呼んだとのこと。(後日聞いた)
ゲスト :あんたらもあんたらだよ。不満があるなら文句の一つでも言やいいのに。今不満があるならやめちまいな。チャンスだよ。
そういうとゲストさんは颯爽と劇場を去っていきました。
他の参加者は流石に帰りません。
たくさん友人や家族にチケットを売っています。
「お願いだから観に来て!」と頭を下げて売っているんです。
また、それ以上に代表が怖くて誰も帰りません。
僕は一人ポカーンとしてました。
本番
サブメインを務めていたゲストさん。
お芝居のサブメインということは、それなりにセリフがあります。
お芝居は約120分です。
北島マヤじゃないんですから、3日で完璧な代役が出来る人なんていません。
スタッフをやっていた人が急遽代役に抜擢されました。劇団員で、今回は出演予定のなかった人です。
ですが、セリフだけでなく、動きまであります。
3日で何とかセリフだけは入れましたが、動きまでは合わせられません。
当然本番はボロボロでした。
本番二日目
本番二日目は大体本番の始まる2時間前くらいに劇場に入ります。
土曜と日曜の二日公演だったので、千秋楽と言うことになります。
13時から1本目だったので、11時前に劇場に入りました。
するとなんということでしょう。
すでに全員揃って稽古しているでは無いですか。
そしてそこにはゲストさんの姿が。
何があったのか聞いた所、代表がゲストさんに頭を下げたとのこと。
一日目の醜態がかなり堪えたらしく、ゲストさんの家まで菓子折り持って謝りに行ったとのこと。
それを聞いた時思いました。
謝るくらいならするなよw
最後に
大物芸能人が出演する舞台でも、突然の休演や取りやめ、代役での上演などはちょくちょくあります。
しかしそんな頻繁にあるものでもありません。
ただ、お芝居に関与している者からすると、本番を投げ出すのはかなりありえない行動です。
いろんな方に迷惑がかかるので。
ゲストさんが「帰りますわ」と言った時の代表の顔を見た時、ちょっとスッとしなかったかと言えばスッとしたんですがw
ゲストさんに確認した所、実は代表が謝ればすぐにでも戻るつもりだったようで、代表が意地になって謝らなかったから、ゲストさんも戻れなかったようです。
あなたも言った言葉には責任を持たないと、そのうち大変なことになるかも・・・w