役者が転職できない理由 我こそドン・キホーテ フリーターの騎士
どーもこんにちわ、ミナミです。
僕は15年ほど役者をやってきて、28歳の時に役者を辞めて正社員になりました。
その最初に入ったところが結構なブラックぶり。その会社は半年ほどで辞めた(辞めることが出来た)のですが、その後の転職活動に支障をきたすくらいのトラウマを受けることになりました。
僕は本当に幸いにもそのあとに別のホワイトな会社へ転職することが出来たのですが、その経験から「役者は定職に就くのが難しい」と非常に思いました。
全ての役者に当てはまるわけではないですが、参考程度に見て下さい。
役者の人に告ぐ。
今までアルバイトを探してきたように、WEBの情報を自分で調べてやろうとするとエライ目に会うよ?
役者がまともに転職出来ない理由
役者は世間を知りません。
役者の世界は狭い。視野狭窄に陥っていると言っても過言ではないくらい狭くて深い。
そんな世界にどっぷりハマっていたあなたは、まともに就職活動はまず出来ません。
役者はコミュニケーションスキルが高い
きっとあなたのコミュニケーションスキルは非常に高いでしょう。
初対面の人とも普通に話すことが出来るでしょう。
だから、アルバイトなどでも面接はそんなに苦手じゃなかったはず。
面接官の人や職場の人に気に入られる自信はあるでしょう。
しかし、残念ながらあなたはまず中々面接まで行けません。
役者にはコミュニケーションスキルしかありません。だから面接まで行けないんです。
役者は何でも出来て何にも出来ない
僕も長年役者をやってきたのでよく知っています。
役者はカメラの前では何にでもなれます。
敏腕弁護士にもなれれば、F1レーサーにもなれます。
医者にもなれるし、ホームレスにもなれる。
でも
あなたはPCをどこまで触れますか?
Excelで関数はいくつ出てきますか?
Wordで差し込み印刷は出来ますか?
CADで図面は書けますか?
RPAでプログラムを作れますか?
役者は何もできません。
舞台の上では、カメラの前なら、どんな役が来ても本物と見まごう程のお芝居は出来るでしょう。
しかし、実際の仕事では即戦力にはなれません。
「初めから戦力になんてなれるわけないじゃないか!」と思うかもしれません。
あなたは何歳でしょうか?
20代なら多少はその言い訳が通用するでしょう。だから現場で教育もしてもらえるでしょう。
20代の人に向けた記事はコチラで書いていますのでチェックしてみて下さい。
役者には社会人経験がない
もしあなたが30歳を超えているならその言い訳は利きません。
普通の人は30歳を超えていると、多少なりとも社会人経験を積んでいます。あなたにはそれがない。
そして、履歴書でそれは丸わかりになります。
職務経歴書であなたの無知が丸ごと相手に伝わります。
使ったことがあるOSを説明できないあなたとは、採用担当者は会ってくれません。
基幹システムを知らないあなたには、面接の機会を与えてくれません。
貸借対照表を見たこともないあなたは相手にされません。
だから面接まで行けずに書類選考時点で落とされます。
あなたの一番の武器であるコミュニケーションスキルを使うことが出来ません。
誰でもウェルカムなブラックに決まってしまう
ブラック企業は人の入れ替わりが激しく、常に人手不足です。
PCに触ったことがない人でも面接をしてくれます。
「最初はみんな素人なんだから大丈夫!アットホームな職場ですよ!」と言って採用まで行けます。
そしてあなたはきっと持ち前のコミュニケーションスキルで周りの人とも仲良くなれるのでしょう。
先輩から色々教えてもらって、どんどん仕事を吸収していくでしょう。
上司に怒鳴られながら、サービス残業をしてでも、舞台で稽古をしていた時は7時集合の23時解散なんてこともあったかもしれません。それと比べれは、一日14時間労働も耐えられるかもしれません。たとえ支払われる給料は8時間分のみでも。
そして、社会人経験のないあなたにはそれが異常な職場であることが中々理解できません。
あなたが努力出来る人であればあるほど、「社会人はこんなに大変なんだ。頑張ろう!」と歯をくいしばって頑張ってしまうでしょう。
あなたが真面目であればあるほど、「よその会社も似たようなものだよ。うちはマシなほう」という上司の言葉を信じてしまいます。
あなたの能力が高ければ高いほど、企業に対して高く貢献してしまい、上司はあなたを手放すまいとお金以外の部分で縛り付けられ、ますます辞めることが出来なくなるでしょう。
「中々面接すら決まらなかった就職活動をもう一度はしたくない」という思いからも、やめることも出来ずに3年ほどは働くことになるでしょう。
その頃には周りに同期はほとんどいなくなっており、あなたは割と古株になっていて、上司からも信頼を得ているでしょう。
同時にプレッシャーもたくさん受けているでしょう。
あなたの体が悲鳴を上げてどんどん壊れて行っていても、3年もその職場にいると色んなことに慣れてしまいます。
気が付けば精神も体もボロボロに。。。
なんてことにもなりかねません。
僕が最初に入社した会社はちょっとブラックという程度でした。
上司はしょっちゅう怒鳴っていて、入社当初からサービス残業が毎日2時間(月40時間)あって、月二回は土曜日に自主学習という名目で会社に呼び出され、給料なしで働かされる程度で、毎日21時には家に帰れていましたし、2時間以上の残業はちゃんと残業代が出ていました。
それでも半年頑張って続けました。
そして辞められない
しかし、ある時当時結婚を約束していた彼女(今の奥さん)が
「体を壊すのが怖いから、キツイ職場なんだったら辞めて。結婚式の資金はゆっくり貯めればいいんだから。」と言ってくれました。
実は結婚することが決まっていたので、仕事を辞めることが出来ないという事もありました。
でも、「アルバイトでもいいよ。一緒にゆっくり頑張ろう。」と言ってくれて辞める決意が出来ました。
しかし、辞める決意は出来たものの、その現場で重要なポジションを任されていたため、「辞める」というのが非常に言いにくい状態でした。
それでも上司に話があると言ってみました。
ちょっと話が…
ダメ。
(まだ何も言ってない…)
今お前が抜けると現場が回らない。会社に多大な迷惑をかけることになるんだぞ?パソコンのど素人だったお前を育ててやったのは誰だ?
・・・
それにお前には本当に期待しているんだ。俺の後を任せられるのはお前しかいないと思ってるんだよ。
多分テレビとかでこの光景を見ていれば「知ったことかよ!」と言えたのでしょうが、現実にこの現場に出会うと何も言えませんでした。
そして、「わかりました」と言って一度話を引っ込めてしまうと、もう一度退職の話を切り出すのはとても勇気のいることとなってしまいました。
僕が転職出来た訳
さて、ここまで役者がまともに転職する難しさをまとめてきました。
でも僕は今とても良い職場で働いています。
それは運が良かったからとか、たまたま採用されたとかそういうことではありません。
全く資格もなくスキルもない。そんな状態からどうして定職に就くことが出来たのか。
あくまで僕の場合どうやったのかは下記記事でまとめましたので、気になる方はチェック!
役者(アルバイト)から正社員に転職して年収が200万円アップした話 - ミナミのラボ
最後に
世の中には星の数ほど役者がいます。
なので、すべての役者にこのお話が当てはまるわけではないです。
コミュニケーションスキルが低い役者もいるでしょう。
パソコンに超詳しい役者もいるでしょう。
ですが、あくまでも僕の周りにいた役者及び僕自身の経験からお話しさせていただきました。
僕も舞台上では医者だったこともあれば、町娘だったこともあります。
ドン・キホーテになり、高らかに歌い上げたこともあります。
転職したいと思っているフリーターの役者の方。重々気をつけて下さいね。