勤務間インターバル制度 ブラック企業は減るのか 残業抑制で助成金
仕事が終わって退社してから翌日出社するまで、一定の時間を空けるようにすることで会社側が国から助成金をもらえるという制度が出来ると昨年話題になりました。
早ければ2017年度から開始というこの制度。これで残業が減るのでしょうか。
勤務間インターバル制度
厚生労働省は従業員がオフィスを退社してから翌日に出社するまで一定時間を空ける制度を導入した企業に助成金を出す方針だ。就業規則への明記を条件に、早ければ2017年度から最大100万円を支給する。深夜残業や早朝出勤を減らすことで、長時間労働の解消につなげる。
助成金の内容ですが、対象が中小企業で就業規則などの作成・変更費用やそれに伴う研修費用、労働管理用機器導入費用などの一部を支給とあります。
確かにこの制度が出来れば、終電退社で始発で出勤なんていう無茶な勤務は無くなると思いますし、電通のような超長時間残業ということもなくなり、ブラック企業を減らすための制度と言えるかもしれません。
ブラック企業の残業は減るのか
しかし、これでブラック企業の残業は減るのでしょうか。
通常の企業ではどうしても残業が必要な所もありますが、そもそもブラック企業のひどい所となると「残業が多くてその残業に対して残業代が出ない」と言うもの。
つまり、ブラック企業側としては、従業員に午後7時にタイムカードを押させて退社したことにして、その後にサービス残業を課す。という実態になっていたら、この制度を利用できたうえで残業をさせるということも可能に思えます。
また、この助成金は上限50万円です。
50万円だったらこの制度を利用せずに、そのまま残業代を払わずに社員に残業させた方が、50万を上回る費用対効果があるでしょう。
通常の企業の場合
通常の企業の場合はメリットがあると思います。
そもそも残業をさせていない企業であれば、「うちはこの制度を守っている」と明示できる上に、この制度に取り組むための費用の4分の3は助成金が出るので、会社側にデメリットがほとんどありません。
就業規則に追加するとか、勤怠管理システムを新しくするということにも助成金が出るので、この制度を利用することでメリットのある企業も多いでしょう。
目的と手段
この制度の目的ですが、「長時間労働の抑制」だそうです。
健全な企業であれば、この制度を利用したら確かにこの制度から外れてしまうレベルの長時間労働を、働いている人に課すことはなくなるかもしれません。
ですが、体を壊すのはもう少し上の人たちです。
僕の友人で公務員をしている人がいるのですが、業務に繁忙期があるらしく、繁忙期は月間の残業時間が170を超えたと言っていました。
死んでしまうんじゃないかと普通に心配になりました。
睡眠時間が無い日も月に何日かあったそうです。42時間連続勤務とかですね。
午前6時に出社して、そのまま翌日の終電まで働く。みたいな。
電通の事故があってからはずいぶん少なくなったが、それでも繁忙期は100時間を超えるとの事。
このレベルになると、一人二人で50万円分の残業代になります。
長時間労働が問題になっている企業がこの制度を利用するとは思えません。
もっと別の方法が必要になるのではないでしょうか。
小さな一歩
とはいえ、長時間労働が問題になっているブラック企業を、根こそぎ一気になくすなんてことは非現実的です。
企業によっていろいろな問題がありますので。
そういったブラックな会社を減らすためには、国はきっといろいろな制度を制定する必要があるでしょう。
今回の制度もその一環と思われます。これで「対策した!」というつもりもないでしょう。
今後、いくつも長時間労働で苦しむ人に向けた制度を制定していき、ブラック企業側が逃げられないように、少しずつ周りを固めていく必要があるでしょう。
この制度だけではいくらでも抜け道があると思いますが、その為の小さな一歩と考えると確かに有効かもしれません。
最後に
少し前に「『死ぬぐらいなら辞めれば』が出来ない理由」という漫画が話題になりました。
これを読んで、「ああ、確かに人間そうかもしれない。」と思いました。
5ページ目とか衝撃ですよね。
この制度自体はとても弱いとは思いますが、いずれ救われる人が出てきますよう歳徳神様の方角に祈ります。