未成年で逮捕された それまでの経緯とそれから彼はどうなったのか
こんばんわミナミです。
高校時代の話。僕にはよく遊ぶ高山(仮名)という友人がいました。
その高山は一度警察に逮捕されています。
彼に何があったのか。その後どうなったのか。
今日は高山が主人公のお話。
高山 山岸
俺は高山だ。年は17。高校2年になる。
俺自身は多少やんちゃもする。茶髪だしタバコも吸う。って言っても周りの奴らみんな吸うけどな。
成績?40人クラスで大体5番から10番をウロウロしてるさ。下からな。
俺には一人頭のおかしいツレがいる。
そいつは山岸。
大体4~5人でいつもつるんでいるが、山岸はその中で唯一タバコを吸わない奴だ。
みんな茶髪や金髪にする中で一人だけ髪も真っ黒。染めたことも無いらしい。
成績もクラスで上から5番から10番をウロウロしている。
ヤンキー崩れのような男の集まりの中に何故かそんな奴がいる。
見た目も成績も真面目。性格もおっとりしている。
でも万引きの常習犯だ。
一度も捕まったことが無いらしい。
パーティ
山岸がある日「高山の家でちょっとパーティしよう」と言い出した。
別に何もなくても俺ん家にツレが集まってる。俺は別にいいよと言った。
山岸はしばらく出かけて帰ってきた。
「ちょっと運ぶの手伝って」
山岸の乗ってきたスクーターのメットインの中には、山ほどのおにぎりやサンドイッチ、お菓子にジュースが入っていた。
「これどうした?」
「ちょっと4,5軒コンビニ周ってきた。」
袋に入っていないおにぎりやサンドイッチ。
タダで貰えるなら特に言うことはない。こいつもやっぱりバカなんだなと思った。
窃盗
山岸はコンビニにあるものだったら何でも盗ってきた。
おにぎりやサンドイッチから、ポテトチップスに1.5リットルのジュースに雑誌。果てはタバコをカートンで。
いったいどうやってと思ったが、じっと見ていないと本当にわからない。マジシャンかこいつはと思った。
ここで一つ言っておくが、俺らが山岸に万引きを強要した事は一度も無い。
また、「万引きした」と言って山岸が自分の小遣いで買っていたということも無い。
実際に何度も俺らの目の前で万引きしていたからだ。
タバコは半額で売ってもらってた。
ある日、山岸が見慣れないスクーターでうちにやってきた。
「このスクーターどうした?」
「駅の駐輪場に停まってた。カギ付きで。」
山岸はいつも姉貴のスクーターに乗っていた。
自分のバイクが欲しかったとの事。
でも置く場所が無いから、カギを置いていく代わりに置かせてほしいと言われた。
うちの庭はそれなりの広さがあったし、俺が持っているバイクはデカかったからコンパクトなスクーターはちょっとありがたかった。
それから俺は1週間ほどそのスクーターを使った。
山岸は結局姉貴のスクーターにいつでも乗れるようで、盗ってきたスクーターは特に使わなかった。
スクーターがあると便利だなと思った俺は「くれよ」と言った。山岸は「いいよ」と言った。
それから少し使ったけど、別のツレの野村がスクーターを欲しがってて、くれてやることになった。
その野村が警察に捕まった。
逮捕
野村にスクーターを渡してから10日程したある日。朝5時頃に母親に叩き起こされた。
「康太!あんた何やったの!?」
うるせーなぁと思いながら玄関に行くと見知らぬオッサンが二人立ってた。
「高山康太くんだね?」
「・・・はい。」
「君を窃盗の容疑で逮捕する。」
そのまま警察署に連れて行かれた。
取り調べ
わけも分からず警察署についたら、話の前に朝食が出てきた。
「警察署でも朝メシ出るんだ」なんて思いながら出されたパンと牛乳を平らげた。
朝食の後、野村が捕まってゲロった事を聞かされた。
野村は何台かバイクを所持していて、全部盗んだものだったらしい。
その入手先をペラペラ全部喋ったそうだ。
何枚もバイクの写真を見せられた。
その中に、俺が野村にやったやつがあった。山岸から貰ったやつだ。
俺が盗んだと言った。
どこで?
駅で。
どうやって?
カギが付いてた。
他のバイクは?
知らない。
お前の他に関わっているやつはいるか?
いない。
本当か?
本当。
そういった取り調べを続けていると、担当が変わった。
次の担当は恫喝してくるやつだった。何故か「他に誰かいるんじゃないか」と執拗に聞かれた。俺はいないと言い続けた。担当が変わった。
次は優しいやつだった。思わず全部言ってしまおうかと思った。でもいないと言った。担当が変わった。
2時間おきくらいに担当が変わった。それでも俺は自分が盗ったと言い続けた。
開放されたのは夜。親父が迎えに来た。
殺される
警察署に親父が迎えに来た。
親父は俺の顔を見るなり思い切り殴った。
マジで5mくらい吹っ飛んだ。
殺されると思った。
警察官は
「まぁまぁお父さん。そういうことは家でやって下さい。」
いやいや、そこは止めろよ!やるなって言えよ!
やばい、家に帰ったら俺殺される。
親父に連れられて車に乗った。
車の中で親父が言ってきた。
「お前がこうやって盗みをしたのは俺のせいだ。まともに構ってやる事もなかった。すまん。さっき殴ったのはポーズだ。気にすんな。」
他にも色々話をしたけど、やたら優しかったのは覚えている。
ただ、ポーズで本気で殴りすぎだろ。
その日の夜に山岸に電話した。
現場検証
警察署から帰ってきたら22時位だった。
すぐに俺は山岸に電話した。
「あのバイクって駅の駐輪場のどこに停まってた?」
「何急に?」
「いいから教えろよ。何番あたり?」
「番号までは覚えてないけど、入り口から2列目の一番手前だったよ。」
「何時頃盗ったんだっけ?」
「なんで?」
「いいから」
「14時位だったかな?ツタヤに行った帰りに見つけたから。」
「分かった。サンキュな」
「なんなんだよ」
翌日も警察署に呼ばれていたので行くと、そのまま駅の駐輪場に連れて行かれた。
「どこに停まっていた?」
「入り口から2列目の一番手前。ここ」
「どうやって盗った?」
「だからカギが付いてたんだって」
「何時頃盗った?」
「14時位だったと思う。」
それで終わった。
恐らく被害者の供述と合ったからだろう。
どうやら野村がゲロった時に、俺が他のやつから貰ったらしいと付け加えたらしい。
どうりでしつこかった訳だ。
その後
家庭裁判所に行った。
今回は特に売り飛ばしていたわけでもなく、改造したわけでもなく、持ち主にそのまま返った為か、一番軽い処分だった。
1週間の保護観察処分だ。
「反省してるか?」
「反省してます。」
って感じで終わった。
窃盗の前科がついたけど、大して気にしてない。
ちなみに山岸には1年位してからこのことを言った。
「俺の事言ってよかったのに。」
アホか。そんなカッコ悪いこと出来るか。
「でも、マジでありがとう。」
やめろ。痒くなる。
今は俺ももう三十路も超えて子供もいる。
山岸とは今もちょくちょく会っている。
会って飲むと、この話をすることもあるがいい笑い話だ。
最後に
友人高山が逮捕された一連を書いてみました。
高山とは今もちょくちょく会って飲んでいます。
気が置けない数少ない友達です。
高山はその後特に悪いことはしなかったので、前科は半年ほどで消えました。
山岸はその後しばらくして万引きをやめました。
ちょっと懐かしい昔のお話でした。